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DeepSeek「識図モード」公開 — でも自社CEOの顔がわからない

2026.06.27 配信
DeepSeek「識図モード」公開 — でも自社CEOの顔がわからない
画像: 腾讯新闻
参照元: 腾讯新闻

中国で「最強AI」の名をほしいままにしてきたDeepSeekが、6月18日に待望の「識図モード」をWebとアプリで一般公開した。テキスト生成では世界トップクラスの評価を受けているだけに、画像認識でも同等の実力を見せるのかと注目が集まったのだが、記者が早速テストしてみたところ、予想の斜め上をいく結果が返ってきた。

自社の創業者をByteDanceのCEOと間違える

記者がDeepSeekに送ったのは、同社の創業者・梁文鋒(リャン・ウェンフォン)の写真だ。中国テック業界では知らない人がいない顔であるにもかかわらず、DeepSeekの回答は「これはByteDance創業者の張一鳴(チャン・イーミン)です」というものだった。

念のため別の角度の写真でもう一度試したが、今度もまた違う人物の名前が返ってきており、2回やって2回とも外すという結果になった。自分の会社を作った人間の顔すらわからないAIが、いったい何を「識って」いるのか、という疑問が残る。

テキストの抽出は優秀だが、顔だけは壊滅的

公平を期して言えば、識図モードのすべてがダメなわけではない。書類や名刺の文字認識(OCR)は正確で、グラフや表のデータ読み取りも実用レベルにあるため、テキスト情報の抽出という用途では確かに使える。

ただ顔認識と物体認識は壊滅的で、記者の表現を借りれば「識図(画像認識)ではなく読図(テキスト読み取り)のレベル」にとどまっている。看板に書かれた文字は読めるのに、その前に立っている人の顔は読めないという、ちぐはぐな状態だ。

SNSで瞬く間にネタ化

この一件は中国のSNSで瞬く間にネタにされた。「DeepSeek、テキストでは天才だけど顔を見るとポンコツ」「自分の親の顔もわからないAI」といった投稿がWeiboやDouyinで拡散し、「識図モード」のリリースが話題になったのは性能の高さではなく失敗のおもしろさだった。

DeepSeek側は具体的なコメントを出していないものの、ユーザーの間では「次のアップデートで梁文鋒の顔を学習させてくるに違いない」という冗談がすでに飛び交っている。

マルチモーダルAIの理想と現実

この一件が浮き彫りにしているのは、テキストも画像も音声も横断的に扱えるとされる「マルチモーダルAI」の現実だ。2025年から2026年にかけて各社がこぞってマルチモーダル対応を打ち出し、ひとつのAIですべてを処理できるという売り文句が飛び交ったが、実態としては得意分野と不得意分野の差が激しい。

テキスト生成で世界一であっても画像認識では素人以下ということが起こりうるわけで、ひとつの能力が高いからといってすべての能力が高いとは限らない。人間だって数学の天才が料理も得意とは限らないのだから、AIも同じことではあるのだが、「万能」への期待値だけが先行しすぎている。

テキスト処理では依然として最強クラス

誤解のないように付け加えると、DeepSeekのテキスト処理能力は依然として世界トップレベルであり、中国語のタスクではGPT-4oを上回る場面も多い。オープンソースで公開されている点も研究者やスタートアップから高く評価されている。

識図モードの顔認識はおそらく次のバージョンで大幅に改善されるだろうし、技術的なハードルが特別高いわけでもない。ただ、このエピソードはAIの「できること」と「できないこと」の境界線がまだはっきり引かれていないことを示しており、使う側がそれを見極める目を持つ必要がある。梁文鋒のことは、次こそ覚えてあげてほしいところだ。