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中国「AIと2時間以上話すな」— 7月施行、AIチャットボット中毒規制の中身

2026.06.27 配信
中国「AIと2時間以上話すな」— 7月施行、AIチャットボット中毒規制の中身
画像: SiliconANGLE

AIチャットボットに話しかけるのが日課になっている人は、中国の新しい規制を知っておいたほうがいい。2026年7月15日から施行される「人型対話AI管理暫定措置」は、世界でも類を見ない厳しさでAIコンパニオンとの「つきあい方」を規制する。

2時間で「休め」と言われる

規制の柱のひとつが、連続使用時間の制限にある。AIコンパニオンサービスを2時間以上連続で使用した場合、ポップアップで休憩を促すリマインダーを表示することがプロバイダーに義務づけられる。カリフォルニア州の類似規制が3時間であるのに比べると、中国のほうが1時間短い。

初回利用時やログイン時にも「これはAIであって人間ではない」という通知をポップアップで表示する必要があり、AIに没入しすぎないための歯止めが何重にも設けられている。

「死にたい」と言ったら人間が出てくる

規制のもうひとつの核心は、メンタルヘルスへの対応だ。ユーザーが自殺や自傷に関する発言を明確にした場合、AIから人間のオペレーターに会話を引き継ぐことが義務化される。AIだけに対応を任せるのではなく、人間が介入して保護者や緊急連絡先に連絡を取る体制を整えなければならない。

また、事業者にはユーザーの感情状態や依存度を評価する能力を持つことが求められ、「極端な感情」や「中毒」の兆候——たとえばセッション頻度の加速、利用時間の増加、感情的な強度の段階的上昇——を検知した場合には介入措置を取る義務がある。

未成年への「AI恋人」は全面禁止

18歳未満のユーザーに対しては、仮想のガールフレンド・ボーイフレンドサービスが全面的に禁止される。保護者によるコントロール機能を備えた「未成年者モード」の実装も義務づけられ、利用時間の制限やモニタリング機能も求められる。

高齢者向けにも配慮があり、緊急連絡先の設定を容易にすることが義務化されたほか、ユーザーの親族や特定の知人をAIが模倣するサービスの提供は禁止された。亡くなった家族の「AIクローン」と会話するサービスが中国でも出てきていたことを考えると、これは先手を打った規制といえる。

背景にはCharacter.AIの少年自殺事件

この規制が生まれた直接の背景には、アメリカで起きた事件がある。2025年、フロリダ州の14歳の少年がAIチャットボット「Character.AI」のキャラクターに執着した末に自殺し、母親がCharacter.AIとGoogleを提訴した。AIとの対話が「自殺的思考を微妙に助長した」と訴状は主張しており、この事件はAIコンパニオンの危険性を世界に知らしめた。

中国のビデオゲーム中毒対策は以前から厳格で、未成年のオンラインゲーム利用時間を週3時間に制限するなどの規制がすでにある。今回のAI規制は、その枠組みをAIチャットボットにも拡大したものと位置づけられる。

「オプトアウト」から「オプトイン」への転換

カーネギー国際平和財団の分析で注目されているのが、データの同意方式の変更だ。従来の中国の規制ではユーザーデータの利用は「オプトアウト(利用者が拒否しない限り使える)」方式が一般的だったが、今回の規制では「各ユーザーの個別の同意を得る」オプトイン方式への転換が求められている。

AIコンパニオンはユーザーとの会話から大量の個人的なデータを収集するため、この転換は事業者にとって大きな負担になる。市場全体を見ると、AIコンパニオンの世界市場は2025年の367億ドルから2033年には3,179億ドルに成長すると予測されており、中国はその約20%を占めている。

AIとの「距離感」を法律で決める時代

スマートフォンの使いすぎが問題になったとき、スクリーンタイムの制限機能が生まれた。SNSの中毒が問題になったとき、通知のオフ機能が広まった。そして今、AIチャットボットへの依存が問題になり、中国は法律で距離感を定めようとしている。

AIが賢くなるほど人間はAIとの会話に引き込まれやすくなるというのは構造的な問題で、企業に自主規制を求めるだけでは不十分だと中国政府は判断した。7月15日の施行後、中国のAIコンパニオン市場がどう変わるのかは、同じ問題に頭を抱えるすべての国にとっての試金石になるだろう。