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羽田空港に身長132cmのロボットが「出勤」している — JALが中国製ヒューマノイドで人手不足に挑む

2026.06.27 配信
羽田空港に身長132cmのロボットが「出勤」している — JALが中国製ヒューマノイドで人手不足に挑む
画像: eWeek
参照元: CNBC / JAL Group / eWeek

羽田空港のターミナルで、身長132cm・体重35kgのヒューマノイドロボットが荷物をコンベアに載せている。横に立つ地上スタッフに手を振り、握手までしてみせる。まるでSF映画のワンシーンだが、これは2026年5月から始まった実証実験の光景だ。

日本初「空港×ヒューマノイド」の実証実験

JALグループのJALグランドサービス(JGS)とGMO AI&ロボティクスが共同で立ち上げたこのプロジェクトは、日本の空港では初となるヒューマノイドロボットの活用実験になる。2028年までの2年間をかけて、空港グランドハンドリング業務(手荷物・貨物の積み下ろしや機内清掃など)でロボットがどこまで使えるかを検証していく。

まずは空港内の業務を可視化・分析するフェーズから始まり、その後に実際の空港環境を模した繰り返しの運用検証に移る計画で、3年以内の商用化が目標だ。

使われているのは中国・杭州生まれのロボット

注目すべきは、採用されたロボットが中国の杭州に本社を置くUnitree Robotics製の「G1」モデルだという点にある。23〜43の自由度を持ち、人間のような動きで狭い作業スペースでも活動でき、最大時速7.2kmで移動する。

ただし現時点での限界もはっきりしている。バッテリー駆動時間が2〜3時間しかなく、頻繁な交換が必要になる。安全に関わる機能は人間の監督者がコントロールを保持する設計で、ロボットだけに現場を任せるにはまだ遠い段階だ。

背景にある「14年連続の人口減」

JALがロボット導入に踏み切った背景には、日本の航空業界が直面する深刻な人手不足がある。日本の人口は14年連続で減少しており、生産年齢人口は全体の59.6%まで落ち込んだ。OECDの予測では今後20年間でさらに1,500万人の労働力が失われるとされている。

一方で訪日観光客は増え続けており、空港の業務量は膨らむばかりだ。人が減って仕事が増えるという構造の中で、ロボットは「贅沢品」ではなく「必需品」に変わりつつある。

経産省も「フィジカルAI」に本腰

JALの取り組みは航空業界にとどまる話ではない。経済産業省は2026年3月、国内のフィジカルAI産業を育成して2040年までに世界市場の30%を獲得する目標を掲げた。人口減少で労働力が縮小し続ける日本にとって、AIを搭載したロボットは産業の存続そのものに関わるテーマだ。

調査によれば、すでにAIロボットを導入している企業は4%、導入を計画中が5%、検討中が25%で、残りの約3分の2はまだ意向すら持っていない。輸送機器メーカーでは導入済み・検討中を合わせると80%に達する一方、業種による温度差は大きい。

「日本のロボットが中国製」という現実

日本がロボット大国と呼ばれたのは産業用ロボットの話であって、ヒューマノイド領域ではいつの間にか中国メーカーが台頭している。Unitreeのロボットは性能に対する価格の安さで知られ、JALが採用したのも技術とコストのバランスを見た結果だろう。

かつて「ロボットといえば日本」だった時代が、気がつけば「日本の空港で働くロボットは中国製」に変わっている。人手不足という切実な問題が、国産へのこだわりよりも「今すぐ使えるもの」の導入を優先させた格好だ。羽田のターミナルで黙々と荷物を運ぶ小さなロボットの姿は、日本の産業構造の変化を象徴しているのかもしれない。