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ヒュンダイ工場の7万3000人が怒った — 「ロボット2万5000台導入」にストライキ投票

2026.06.28 配信
ヒュンダイ工場の7万3000人が怒った — 「ロボット2万5000台導入」にストライキ投票
画像: Futurism
参照元: Futurism

「ロボットのせいで仕事を失うかもしれない」。韓国最大の自動車メーカー、ヒュンダイ(現代自動車)の工場で働く労働者たちが、その不安を行動に移した。

2万5000台のロボット計画

事の発端は、ヒュンダイが今年に入って打ち出した一連のロボット導入計画にある。1月には傘下のBoston Dynamicsが開発した人型ロボット「Atlas」を、2028年までに米ジョージア州の工場に配備すると発表。さらに5月には、2万5000台以上のヒューマノイドロボットを世界中の製造拠点に展開するという大規模な計画を明らかにした。

ヒュンダイ側は「ロボットは人間が避けたがる危険で重労働な作業を担う」と説明しているが、工場で働く労働者たちの受け止めは違う。

韓国金属労組が動いた

韓国金属労働組合に加盟するヒュンダイの労働者たちは、ロボット導入が「雇用ショック」を引き起こすと警告し、ストライキ投票に踏み切った。組合の要求はふたつある。ひとつはロボットやAIの導入に関する意思決定に労働者側の同意を義務づけること。もうひとつは、ヒュンダイの年間利益の約3分の1にあたるボーナス(1人あたり約27,000ドル、日本円で約400万円相当)の支給だ。

組合は1月の時点で「新技術のロボットは労使合意なしに稼働させない」と宣言しており、今回のストライキ投票はその延長線上にある。ヒュンダイで本格的なストライキが実施されたのは2018年が最後で、7年ぶりの全面対決になる可能性が出てきた。

サムスンのAIボーナスが火をつけた

大林大学の自動車工学教授キム・ピルスは、組合側の要求が「現実的でない面もある」と指摘しつつも、労働者の不満が高まっている背景を解説している。サムスン電子がAI関連の業績好調を受けて従業員に相当額のボーナスを支給したことが広く報じられ、ヒュンダイの労働者たちは「自分たちだけが割を食っている」と感じているのだという。

ロボットに仕事を奪われるかもしれないという不安に加えて、同じ韓国の大企業であるサムスンとの待遇格差が重なったことで、労働者の怒りに火がついた格好だ。

世界中で広がる「ロボットvs労働者」

ヒュンダイの件は、世界的に広がるロボット導入と労働者の摩擦を象徴するケースになっている。日本航空は東京・羽田空港でロボットによる手荷物搬送をテスト中であり、中国の郵便局ではヒューマノイドロボットが郵便物の仕分けに使われ始めた。BMWもドイツ・ライプツィヒ工場で人型ロボットの試験導入を進めている。

ただし、ヒュンダイのケースが際立っているのは、労働者側が組織的に反発し、明確な交渉条件を突きつけている点にある。「テクノロジーの進歩は止められないが、導入のプロセスには労働者の声を入れろ」という主張は、今後ほかの産業にも波及する可能性が高い。ロボットと人間がどう共存するかという問いに、工場の現場から回答が迫られている。