中国・成都の繁華街で、歩道にひざまずくヒューマノイドロボットが目撃された。両手を合わせてお辞儀するポーズを取り、通行人にコインやQRコード決済を求めていたという。掲げていたメッセージは「充電するお金がありません」。
このロボットは、中国のロボットメーカーUnitree(宇樹科技)が製造したG1という機種だ。カタログ上のバッテリー駆動時間はフル充電で約2時間とされており、「充電代を恵んでくれ」というのは一応の筋は通っている。
誰がやったのか、誰も名乗り出ない
この「ロボット物乞い」を仕掛けた人物や組織は、現時点で名乗り出ていない。Unitreeのマーケティング施策なのか、個人がG1を購入して行ったパフォーマンスなのかは不明だ。いずれにしても、中国のSNS「小紅書(RED)」上で動画が拡散し、さまざまな反応を引き出すことには成功している。
「将来は物乞いの仕事もロボットに奪われるのか」
SNS上の反応は二分された。面白がる声がある一方で、皮肉を込めたコメントも目立つ。あるユーザーは「将来は物乞いも失業するってことか?」と書き込み、別のユーザーは「これがUnitreeの本業の収益源だろう」と突っ込んだ。
冗談めかした投稿が多いものの、その底にあるのは中国社会で急速に進むロボット導入への複雑な感情だ。ヒューマノイドロボットがマラソンを走り、自動車工場で組み立て作業をこなし、郵便局で荷物を仕分けしている国で、「ロボットが路上で物乞いをする」光景はブラックジョークとしての切れ味が鋭い。
中国ロボットブームの「シュールな一面」
中国では2025年後半から、ヒューマノイドロボットの開発競争が過熱している。Unitreeをはじめ、UBTech(優必選)やFourier Intelligence(傅利叶智能)といった企業が次々と新型機を発表しており、工場や物流現場への導入も始まった。政府も「ヒューマノイドロボット産業の育成」を国家戦略のひとつに位置づけている。
そんな真剣なロボット産業の中で、G1が歩道にひざまずいて「お恵みを」と求める映像は、どこかシュールだ。高度な二足歩行技術やAI制御の成果が「物乞いパフォーマンス」に使われているという事実が、技術の進歩と社会の受容のあいだにあるギャップを浮き彫りにしている。
バッテリーが切れたら本当に動けなくなるロボットが、自分で「充電代をください」と訴える姿は、笑い話として消費されるかもしれない。だが、人型ロボットが街に溶け込む時代がすぐそこまで来ていることを、このパフォーマンスは妙にリアルに伝えている。